2026年3月9日 スピードとロボット

今年の春節も中国で過ごしました。
旧暦のおおみそかにあたる2月16日夜に放送された「春節聯歓晩会(春晩)」番組に、
ヒト型ロボットと子どもたちとのダンスから目を離すことができませんでした。
昨年のロボットが民族舞踊を踊っていた振り付けより明らかに難易度が上がっていました。

ヒト型ロボット10台以上を舞台に立たせ、
人間の子どもたちと約4分半にわたり武術やダンスを披露しました。
複数台のロボットが同時に宙返りしたり、
胸の高さほどある台を飛び越えたりと運動性能の高さをアピールしました。
また、わざと転んだ後でスムーズに立ち上がる場面もありました。
それを見て、思わずジャッキー・チェンが若いころ主演した『酔拳』のワンシーンが浮かびました。

これから、中国のヒト型ロボットの注目度が一気に高まるでしょう。
中国メーカーの強みの一つが市場投入のスピードが圧倒的に速いことです。
手法は様々ですが、例えば、私はよく行っていた広州地域のカバン製造工場は、
問題があれば他社の友人、知り合いに助けに来てもらい、
チャットグループでは日常的に情報交換が行われています。
そこには、人、技術、情報、経営ノウハウも企業の枠を超えて行き来し、
資源が徹底的に使い尽くされる姿があります。

中国では多くのヒト型ロボット本体を作る企業が設立され、
その数は世界の半数を占めているようなデータがあります。
近年、ロボット活用を通じて進化した中国の電動自動車(EV)は、
世界市場で攻勢をかけていましたが、
本当にその拡大は続くのか、それは簡単にはいかないでしょう。
なぜならば、中国企業に欠けているのは市場理解だと考えます。
自分たちのブランドを伝えるマーケティング・コミュニケーションがない状態で、
中国と同じ手法が日本、あるいは世界でも通用すると考えるのは間違いだと思うからです。

特に、日本消費者はスピードを求めるより、
たしかなアフターフォローと心に刺さる細かい感動を重視する傾向があります。
私たちは中国企業をライバル視しつつも、相手の強みをうまく学びながら、
競争力を維持する強かさが必須となってきました。
これまでの日本企業の行動パターンだけでは、
もはや通用しない時代に入っているのだと感じます。