2025年12月28日 クマよ、寄り道しないで

今年の初夏、甲州地方にある老舗旅館に泊まりました。
山菜の天ぷらや山椒の効いたキノコの佃煮など、山の幸にあふれています。
すぐそばを川が流れ、せせらぎが部屋までよく聞こえ、
都会にはない研ぎ澄まされた空気に、すべてが吸い込まれていくような気がしました。

この当たり前で、何ひとつ疑うことのない自然の中で、
今年に入り、冬眠しないクマが活動している姿が確認されています。
本来、クマは秋に木の実や果実を食べて脂肪を蓄え、
11月下旬から翌年4月まで冬眠状態に入る生態を持っています。
冬眠はクマにとって重要な生存プロセスでもあります。

クマが冬眠しない理由として、
ブナの実やどんぐりなどの餌が少なく不足していること、
気候変動により冬でも異常な高温が続き、
冬眠に入るための十分な寒さが得られないことが挙げられています。
冬眠しないという状況は、何らかの環境変化や異常が起きているサインだと言えるでしょう。

日本漢字能力検定協会が選ぶ、
今年一年の世相を表す漢字一字に選ばれたのは「熊」でした。
全国各地でクマによる被害が相次ぎ、
生活や経済活動にも深刻な影響を与えています。

私たち人間社会は、成長への欲望のために、
必要以上の森林伐採、都市開発、エネルギー消費、食料や資源の過剰消費といった活動を続け、
気候変動や地球温暖化を加速させる一因となってきたのではないでしょうか。
人間の争いの目的は、生きるための資源確保だとも言われています。
歴史的な理由から隣国への執拗な非難や言動も見られ、互いの不信感は高まり、
戦争にならないために私たちに何ができるのかが問われています。
また、ロシアによるウクライナ侵略は、2026年2月末で5年目に入り、
いまだに出口が見えていません。

おそらく、私たちは自分の世界しか見ていないのでしょう。
クマからの警告に目をそらし、緊急事態にならない限り動かない。それが現実です。
これから寒くなります。
クマよ、寄り道しないで。お願いだから、私たちを脅かさないでください。

来年が、平和な世界でありますように祈ります。