2025年11月26日 『人間の条件』仲代達也さんを想う
今月の8日、私が好きな俳優・仲代達也さんはこの世を去りました。
覚悟しながら、彼の代表作『人間の条件』を、いつもの出張先のホテルで観ました。
なぜ覚悟が必要なのかというと、まず、上映時間が9時間36分という長丁場であること、
そして、娯楽映画とは異なり、六十年前に撮影された白黒の戦争映画だったからです。
映画は重厚感あふれる全6部構成で、
戦争という極限状況における人間の尊厳や良心、愛、
そして、生きることの意味を深く問いかける作品でした。
映画の終盤では、主人公が捕虜収容所を脱出し、寒いシベリアの荒野を彷徨います。
その時、彼の脳裏にあったのは、奥さんとの温かい記憶だけでした。
やがて主人公は力尽き、動かなくなった体を雪が包み込んでいきます。
あまりの重い内容が尾を引いて、休みの日は何もできず、ただぼんやりと過ごしてしまいました。
戦争映画を敬遠していた私ですが、このタイミングで仲代さんの面影をもう一度追いかけたいと思いました。
人間であることにこだわり続けた主人公は、
戦争や軍隊という不条理な世界の中で自分に正直であり続けたゆえに、
とことん辛酸をなめ、究極の地獄を味わいました。
仲代さんのインタビュー動画によれば、このラスト・シーンも決死の撮影だったそうです。
体に雪が積もって山になるまで、仲代さんは動くことを許されず、
次第に意識も薄れ、本当に死を意識したとのことでした。
撮影が終わった後も監督からねぎらいの言葉は一切なかったといいますが、
仲代さんは「自分は俳優だから当然だと思った」と語っており、頭が下がります。
今回の出張は、ちょうど高市総理の「台湾有事」発言があった時期で、
中国ではメディアと一部市民の間でも日本へのバッシングが広がっています。
隣国同士である両国政府には、もっとプロ意識を持って仕事して欲しいものです。
戦争をしないことこそ、これからの「人間の条件」なのかもしれません。

