2025年6月21日 広州の雨

30年前、広州交易会に見に行くため、
香港から船に揺られながら初めて広州にたどり着きました。
北国出身の私には、広州の湿度と接点があまりないため、
その蒸し暑さは、トースターの中みたいで、
自分が焼かれた食パンの如くムワッとした感覚でした。

この数年、仕事の都合で広州に1ケ月近く滞在することもしばしばあり、
いろいろな驚きが多いです。
その驚きがなじむ前に、「広州シリーズ」を書いてみようと思いました。
今回のテーマは「広州の雨」についてです。

広州は台湾、日本の石垣島とほぼ同じ緯度にあり、湿度が高い南国の気候です。
そして、広州の雨はじつにワイルド!!

日本では、激しい雨を「ゲリラ豪雨」や「夕立」という表現をしますが、
広州では、ダムが崩壊したようなスコール級の雨が連日降ります。
「今日は晴れているから、日本に帰る飛行機が無事に飛ぶでしょうね」って空港に向かったら、
雷を伴う雨がザーザー降りだし、
乗った車のタクシー運転手は体を真っ直ぐ、目をみひらいて、ワイパーを全力で回し、
ハンドルをとられないように、全神経を集中。
その姿を見ていると、こちらも手のひらからジワリ汗がでてきます。
ようやく空港に着き、チェックインをしても、
いつ飛ぶか分からないままで足止めされたことは珍しくありません。

一緒に仕事している工場の方は、雨の日にレインブーツを履くのではなく、
ビーチサンダルを履いて、びちゃびちゃに濡れて、足を洗えばいいですと開き直っています。
街中、レインブーツを履いて、その上からさらにビニール袋を履いてふくらはぎでキュッと結んでいる人もいました。
他にも、釣り用の胴付き長靴のような全身を包むタイプのレインスーツを着ている人もたまに見かけます。

広州の道路は日本と違って凸凹があり、雨が降ると車道に水溜りがたくさんでき、
車や電動バイクはその上を猛スピードで駆け抜けていきます。
車が水溜まりを走った時、水しぶきを歩行者にダイレクトに掛けられ、
その時、素早く傘を車に向けて水しぶきを避けられなかったら災難に近い気持ちになります。
私は仕事を早めに仕上げ、ホテル近くのコンビニまで歩いていると、
風が強すぎるせいで、雨粒が全身に当たり、「痛い痛い」と呟きながら早足で進みました。
体が吹き飛ばされそうになりながらも、
じっとホテルに閉じこもっていたくない気持ちが強かったです。

雨が窓ガラスを強くたたき、その日の夜の激しい雨をみながら、
さすが広州の雨だなと、なぜかぐっすり寝てしまいました。